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Houdiniと、CG技術と、日々のこと。

Houdini: 初心者向けチュートリアル動画をリリースした話

2019/12/6(金)「Houdini基礎 - モデリング編」という動画チュートリアルをリリースしました。制作の経緯とHoudini道を歩み始める現在~未来のユーザーに向けて熱い想いを語ります。

本記事はHoudiniアドベントカレンダー201916日目の記事です。

1年の振り返り

HoudiniAid

参加者が疑問点を持ち寄り、みんなで解決しあう勉強会、HoudiniAidを立ち上げました。おかげさまで熱量の高い勉強会となっており、第3回以降も開催していきたいと思っています。

また本勉強会は大阪でも開催され、Houdiniの輪が広がればいいなぁと思っています。

Houdiniはユーザー同士がフォローしあうコミュニティが醸成されており、その文化とうまくマッチしたのかなと思っています

第15回 3DCGMeetup

アレコレ話したいことをぐっとこらえて、アトリビュートのみに絞った登壇をしました。

活動やSNSを通して思ったこと

Houdiniを導入すること・始めることに躊躇する方々のこんな意見を見かけることが多いです。

  • Houdiniはすごいすごいと聞くけど実際どこで役に立つかわからない
  • エフェクトアーティスト専用ツールなんでしょ
  • TA以外は触る必要がない
  • 自動化することで作家性が失われる
  • プログラム書けないから私には関係ない

違う、違う、そうじゃ、そうじゃないと声を大にしていいたい

本アドベントカレンダーでも蒸留スイさんが寄稿したとおりHoudiniでもダイレクトモデリングは可能ですし、実案件でも破壊的な編集をすることはまま*1あります。最終形態を見通したプロシージャルない仕組みは一般的に構築に時間がかかる*2ものですし、ケースバイケースと言えるでしょう。

だからHoudiniを使っていて困ったら普通のDCCツールのように頂点をガンガン動かしてしまえばいいのです。Houdiniはダイレクトモデリングもできるし、それに加えてプロシージャルなモデリングもできると考えれば気が楽になるのではと思います。アプローチが多い分、より自由なんだということを伝えたい。おじさんは強く伝えたい。

だからキャラモデラーでもエフェクトアーティストでも背景アーティストでもみんなにHoudiniを使ってほしいと思います。Coreも出てきたことだし、最近のモデリングに関する機能強化も背中を押しています。

例えばHoudiniをメインのフローに導入しなかったとしても、その考え方はなくならない財産になる。そう思います。

時は満ちた。今がチャレンジするチャンス!

チュートリアルの特徴

というわけで本チュートリアルは下記方々に向けて制作しました。

  • これからHoudiniを始めたいアーティスト
  • 一度チャレンジしたけど挫折してしまったアーティスト
  • 何から手を付けていいかわからないアーティスト
  • 重要な概念は日本語で理解したいアーティスト

ぼくは独学でHoudiniを学びましたが、学習を始めた頃に詰まった部分を丁寧に解説したものになっています。特に下記に重点を置いて解説を行いました。

「自分で組めるようになる」を目標に

本チュートリアルはHowよりWhyに重点を置いており、「これとこれを繋いでこんな値にして出来上がり」ではなく「なぜこのノードを使うのか?」をくどいほど説明しています。そのため、先にわざとあまりよくない方法(上流を変えると壊れる構造)なども紹介し、その後によりベターな(プロシージャルな)手法を紹介したりしています。

これにより、実際に自分がネットワークを組むときに自分で考える癖がつき、トライ&エラーができるよう水を向けています。作例は地味なものですが、ご自身で普段お使いのDCCツールと作り比べてみてHoudiniらしさを実感できるような狙いがあります。

はじめの一歩の学習に本チュートリアルを加えていただければ、あとは現在出版されている素晴らしい書籍やよりカッコイイ作例のチュートリアルなどにチャレンジしていただくとよいと思います。

データ型について

アトリビュートや関数の戻り値、自身でカスタムアトリビュート・変数を作成するときなど、データ型の知識は必須になるため最初の方で解説を入れました。特に自分でネットワークを組んでいく際、暗黙の型変換に起因する問題や大きすぎるデータの最適化などを行う際、データ型の知識がないと詰まるので丁寧に解説しています。

また、データ型の知識があるとVOPの学習もしやすくなります。各ピンの色がデータ型を表しており、期待される入出力が把握しやすくなるため初めて使うノードでも理解しやすくなるでしょう。

アトリビュートについて

言わずもがなHoudiniの最重要事項ですが、チャンネルと混同してしまうと尾を引く可能性があります。本チュートリアルでは明確に両者を解説しています。

コンテキストについて

コンテキスト(特にSOPコンテキスト)をより理解するために、Blenderと比較しながら解説を行いました。無料でオープンソースのBlenderは誰しもが導入できるものなので、比較対象としてハードルが下げられたかと思います。

VEXについて

VEXについては言語仕様の基礎の基礎、「代入ってなんだろう」から解説を始めています。Houdiniの盛り上がりを受けて、はじめての言語がVEXという方も増えてくると思い、できるだけ丁寧に解説を行っています。

ぼくはHoudiniを始める前からJS/Pythonなどの動的型付けのオブジェクト指向言語を書いていたので、逆にVEXの文法は戸惑う部分があったのですが、それはまた別の機会にお話しできればと思います。

各種SOPについて

様々なSOPの中でも特にCopy To PointsSOPについて深堀りして解説をしています。別々のストリームのアトリビュートを参照するノードの代表格として、また組み込みアトリビュートの扱いやVEXのrand関数なども含めて理解しやすい題材かと思います。

Houdini18対応について

動画は17.5で作成していますが、問題なく学習できると思います。UIが変更になったノードに関してはPDFで比較画像を添付しており、また作例のシーンデータは17.5と18両バージョンを同梱しました。

また、バージョン18ではSweepSOPなど破壊的な変更が入ったノードもありますが、本チュートリアル内で解説したInputにマウスオーバーすることで注釈を確認することができることなどを理解していれば、今後のノード変更にも柔軟に対応できるようになると思います。

技術検証

できるだけわかりやすく、そして正しい知識を伝えるため、様々な識者にレビューをいただいたうえでリリースをしました。特に毎年Houdini Advent Calenderを企画され、またHoudini実践ハンドブックの著者でもある蒸留スイ氏にはお忙しい中最後のチェックをしていただきました。 以下は氏にいただいた感想の抜粋です。*3

非常に最初に学ぶべき点がきちんと配置されているので特に言うことはありません。

SOPの基本的に使うものをバランスよく使った良チュートリアルだなと感じました。

Wrangle周りとかはプログラマじゃないひとにもわかるほど丁寧だったのですごくよかったと思います。

とてもありがたいお言葉で、頑張った甲斐があります。この場を借りてお礼申し上げます。

皆様の反響

ありがたいことにSNSで直接お声をいただけたり、つぶやきを見かけたりとご高評をいただいています。中でも僕の尊敬するキャラクターアーティストであるちろナモさんのお言葉を引用させていただきます。

raySOPはワクワクする

そう!こういうワクワクを届けたかったんです!すごくうれしいです。

またチュートリアルの内容をご評価いただき、某社さまにてHoudini導入教材として検討いただいております。

2019/12/17追記

KAYAC engineers' blogさまのアドベントカレンダー記事にて当チュートリアルを取り上げていただきました。

モデリングに関しては、 めんたいこさんのHoudini基礎 - モデリング編が日本語なので一番わかりやすいです。

Houdiniでモデリングし、GLTFで書き出そうとしたらアニメーションなどを書き出せなかった話 - KAYAC engineers' blog

超オススメチュートリアル Houdiniモデリングチュートリアル Houdiniプロシージャルモデリングに置けるプロシージャルモデリングの基礎だけでなく Houdiniの基本的な使い方も教えてくれます。

Houdiniでモデリングし、GLTFで書き出そうとしたらアニメーションなどを書き出せなかった話 - KAYAC engineers' blog

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なんと嬉しいお言葉。この場を借りてお礼申し上げます。

サンプル動画

イントロ

ダイジェスト

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「Houdini基礎 - モデリング編」

まとめ

本チュートリアルは初めの一歩として選んでいただけることを目標に作成しました。基礎の基礎を丁寧に解説したため、今後のバージョンアップにも耐えうる根本的な知識を得ることができるチュートリアルになったのではと思っています。

本アドベントカレンダーをご覧になっている方々は玄人の方が多いかと思いますが、これからHoudiniを始めてみたいと思っている方が身近にいたら、お役に立てれば幸いです。

*1:体感的に平均1,2割ほど

*2:適切な粒度のアセットがすでに用意してある場合はスピードでも勝る場合がある

*3:改善点のアドバイスは追加したサンプルファイルにて対応済み