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kick the base

好きな映画、音楽、マンガ、プログラム、デザイン、3DCG、ゲームのこと。

映画評: ピエロがお前を嘲笑う

映画

今回は映画「ピエロがお前を嘲笑う」について。

一言で言えばあなたは騙される!系の映画です。大抵この手のどんでん返しものはネタを知ってしまえば冷めるもの。 一度見れば十分な作品がほとんどでしょう。が、本作は珍しく何度も見返したくなる作品でした。ぼくは過去2回見ていますが、きっと3度目も見るでしょう。

頭を空っぽにして見ても、注意深く見てもきっと騙されます。

すごーい!ハッキングが得意なFR13NDSなんだね!くらいの気持ちで見ると良いかと思います。

評価: ★★★★☆

以下ネタバレはなしで行こうと思いますが、本作に興味がある方はぜひ予備知識無しでご覧ください。その方がきっとより楽しめると思います。

常にフェアであるということ

この手のサスペンスドラマで一番萎えるのは「後出しジャンケン」を感じること。

「それ全然出てこなかったじゃん!」や「結果論が過ぎるなー」と感じた瞬間、どんなにハードなアクションがあっても、目を見張るVFXがあってもテンションはだだ下がり、時計をチラチラ見ながらいつ終わるんだろう…という考えが頭をよぎります。

本作は全くそれがなく、実に気持ちのいい裏切り方をしてくれます。たとえば回想録としてぼくらは映像を見ていくのですが、これが「供述」であることが重要なファクターになってくるなど、憎い演出に関心します。

視聴者が忘れがちな事実が大きな意味を持つというのは伏線の貼り方として至極真っ当なスタイルですが、それを最後まで貫くことは難しいことでしょう。どこかでほころびが出る作品の多さがそれを物語っています。

巧みなミスリード

大どんでん返しを作るためには、手前で一度落とす必要があります。その落とし所の納得感が大きければ大きいほど、鮮やかな裏切りが映えると言えましょう。

本作で印象的だったのは以下の場面。

  • 二人並んだ男性が向こう側を向いている絵画が精神科の病室にありますが、同じ構図のカットが印象的に描写されるシーン。これが暗示しているものは…映画を見た方なら分かるはず。
  • 現場の小物を盗むシーンも非常に小洒落ている演出。
  • マックスとベンヤミンの決めゼリフが「ビンゴ」で一緒というのもCool。

実はまだまだ散りばめられたカットがあるのですが、ひとつどうしても気になってしまったのが後述するマイナス1点の理由です。

電脳戦の描き方

サイバー空間での接触を擬人化して表現すること自体は使い古された表現ですし、匿名性のメタファーとしてマスクをかぶるという演出にはイモ臭さすら感じます。

しかし、「IPがバレる」という表現はなかなか気持ちのよい見せ方でした。

マイナス1点の理由

ぼくは気持ちよく騙されましたし、二度見ても「良く出来てるなぁ」と思える素晴らしい作品です。が、5点満点ではない。というのが素直な気持ちです。

大きくここが減点というのではなく、気になる箇所の累積で1点マイナスという感じです。

01で表されたデジタルの世界。網膜から血管を辿っていくVFX。フードをずっと被っているハッカー。電脳戦の描写以外は総じてステロタイプなビジュアルと言わざるを得ないでしょう。

またいくらなんでもヒロインのマリが地味過ぎる。もっと魅力的な、少なくとも美しい容姿でないとベンヤミンがずっと憧れを抱いていた理由付けが弱くなるし、マックスが遊びで手を出すシーンの説得力も薄くなります。もうちょっと分かりやすい美女にすべきだった。

そして一番やり過ぎだろ!と思ったのがファイトクラブのポスターいやあ、逆に気づくでしょ、あんなのあったら。

まとめ

マイナス点もないわけではないですが、しっかりとまとまった良質なサスペンス・ドラマでした。

自分の導き出した(と信じる)答えは疑いにくい。

これは映画を見終わったあとにも僕らの人生に大きな教訓として何かを残してくれるかもしれません。

オススメです。